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病いの共同体

ハンセン病療養所における患者文化の生成と変容

病いの共同体
著者 青山 陽子
ジャンル 社会学 > ナラティヴ
出版年月日 2014/11/13
ISBN 9784788514126
判型・ページ数 A5・320ページ
定価 本体3,600円+税
在庫 在庫あり

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内容説明

目次

ハンセン病訴訟で聞かれた「被害の語り」。しかし,彼らの人生を孤独や不幸といった言葉だけで片付けてよいのか? 患者たちが集団としての連帯を生み出し,誇りに満ちた文化を形成していったプロセスを丹念に聴き取り,社会学の視点から描く!
病いの共同体――目次

序 章 記憶と語りから捉える患者文化
第1章 療養所という場の位置づけ
 第1節 療養所の社会的背景
 第2節 療養所内の「生活組織」の概要とその変遷

第一部 生活の語りからみる患者文化の諸相
第2章 相互扶助と統治
    ――患者組織形成期における集団への個人の適応の側面から
 第1節 はじめに
 第2節 管理運営組織の文化コードに対する個人の適応
 第3節 患者組織の文化コードに対する個人の適応
 第4節 療養所における二つの文化コードと個人の適応

第3章 中間集団としての患者自治会
    ――患者集団を代表する「生活組織」が果たす役割
 第1節 はじめに
 第2節 患者自治会の背景
 第3節 生活を支える患者自治会の様々な包括的機能
 第4節 施設の補助機能からはみ出ていく患者自治会

第4章 生活を支え合う労働
    ――生産、分配、共有をめぐる諸相からみる共同性の意味
 第1節 はじめに
 第2節 生産、分配、共有をめぐる諸相
 第3節 患者の共同性と統治との関係

第5章 看取りからみる多層的なネットワーク
    ――親密圏の形成と変容
 第1節 はじめに
 第2節 公的な看取りのなかにおける相互扶助――付添という患者作業
 第3節 しきたりとしての看取り――インフォーマルな組織と社会関係
 第4節 しきたりとしての看取りの制度化――施設サービスの充実と患者組織の変容
 第5節 おわりに
   ■■ 病いの共同体とは何か――第一部をふり返って

第二部 患者集団の記憶の枠に寄り添い、離れつつ語る自己
第6章 療養所で子供をもつことの意味
    ――患者たちに潜む出産のタブー意識
 第1節 はじめに
 第2節 療養所で子供をもった女性のライフストーリー
 第3節 子供をめぐるローカルな意味体系と個人の語り

第7章 療養所のなかの夫婦のかたち
    ――異なる視点から園内結婚を聞き取る
 第1節 はじめに――インタビューアーの立場の違い
 第2節 ハンセン病を聞き取る1――ハンセン病問題の視点から
 第3節 ハンセン病を聞き取る2――患者社会の視点から

第8章 ハンセン病を生きる
    ――家族内感染者のある生の軌跡
 第1節 はじめに
 第2節 Oさんのライフストーリー

第9章 在日朝鮮・韓国人とハンセン病患者の間で
    ――患者社会のなかの差別の表象
 第1節 はじめに――在日朝鮮・韓国人入所者との出会い
 第2節 戦前におけるライフストーリー
 第3節 戦後におけるライフストーリー
 第4節 おわりに
   ■■ 自己物語から捉える戦後の患者社会――第二部をふり返って

第三部 消えゆく患者集団の記憶の果てに
第10章 ハンセン病問題を捉える運動の語り
    ――物語の移り変わりと患者集団の記憶
 第1節 はじめに
 第2節 背景――ハンセン病訴訟の概要
 第3節 訴訟運動における枠の生成
 第4節 新しい語りの発展と患者たちの解釈活動

第11章 ハンセン病資料館における記憶と歴史
    ――存在証明の場から歴史検証の場へ
 第1節 はじめに
 第2節 旧資料館の成り立ち
 第3節 旧資料館における展示手法
 第4節 国立ハンセン病資料館の設立
 第5節 新資料館における展示手法
 第6節 生きられた記憶から国家の歴史へ
   ■■ 上位の枠を生産し、拡散させる文化装置――第三部をふり返って

終 章 下位集団における文化の創造性
 第1節 マイノリティ集団を捉える視点
 第2節 下位集団がもたらす文化のダイナミズム
 おわりに
 参考文献 (8)
 引用文献 (5)
 索引 (1)
カバー写真 黒崎 彰

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