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この世とあの世のイメージ

描画のフォーク心理学

この世とあの世のイメージ
著者 やまだ ようこ
やまだ ようこ
加藤 義信
戸田 有一
伊藤 哲司
ジャンル 心理学・認知科学・臨床 > 発達・教育
出版年月日 2010/11/30
ISBN 9784788512146
判型・ページ数 A5・360ページ
定価 本体4,800円+税
在庫 在庫あり

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内容説明

目次

私たちは,さまざまなイメージや物語によって死に意味づけを与えつつ生きている。日・英・仏・ベトナムの人々が描いた他界やたましいについてのイメージ画をもとに,現代民衆の心理世界のコスモロジーを浮彫りにした,心理学の新しい分野を拓く一冊。
◆この世とあの世のイメージ――目次

序章 いのちサイクルの心理学を
1 生と死のイメージ/2 この世とあの世のイメージ画 ― ビジュアル・ナラティヴの心理学/3 フォークイメージとしての他界 ― 共同的想像世界の心理学/4 日本文化に根ざし多文化にひらく ― 多声モデル生成法/5 人生の物語といのちサイクル ― 死生観と世代連関を含む生涯発達心理学

 第?部 ものの見方と問い方 ― イメージ画のフォーク心理学を求めて

1章 何を問うか、どのような方法か ― イメージ画のフォーク心理学
1節 オリジナルな視点
1 人びとの心理学/2 何を問うか ― 二つの問い/3 想像世界としての「あの世」/4 「心理的場所」と「移動」/5「個人」から「関係」概念へ
2節 オリジナルな方法
1 イメージ描画法 ― 言語偏重からの脱却/2 平凡なものにひそむルールを/3 多声モデル生成法/4 質的研究と量的研究の統合/5 多文化との対話 ― クロノトポス・モデル
3節 イメージ画のフォーク心理学
1 イメージとは/2 イメージ画は、個人の内的表象の表現か/3 イメージ画は、社会の外的表象の再現か/4 フォークイメージ ― 表象概念の変革/5 集合的無意識や元型とフォークイメージ/6 社会的表象とフォークイメージ/7 イメージ画のネットワークモデル/8 目的と方法のまとめ ― 多文化のイメージ画による心理学モデルの生成

2章 二つの心理的場所「ここ」と「あそこ」
1節 基底概念としての「心理的場所」と「移動」
1 不変項と変化項/2 境界の長いトンネルを抜けるとあの世であった
2節 「ここ」と「あそこ」
1 コソアドの体系/2「ここ」でない場所「あそこ」
3節 「世」という概念
1「よ(世・代)」とは/2「あの世」の関連語 ―「他界」「来世」
4節 心理的場所
1 空間と場所/2 生態学的場所/3 記憶の基盤としての場所/4 認識の発生基盤としての場所と移動/5 場所と時間的変化
5節 本書のテーマ ― この世の人(生者・身体)とあの世の人(死者・たましい)の関係性

3章 モデル生成と分析方法
1節 多声モデル生成法
2節 モデルとは? ― 半具象モデルをビジュアル・モードで
3節 三水準のモデル生成
1 モデル? 抽象モデル ― 基本枠組/2 モデル? 媒介モデル、半具象モデル ― 基本構図/3 モデル? 具象モデル ― 基本単位、基本形、事例
4節 モデル? 基本枠組と生成プロセス
1 座標系 /2 水平軸 ― 基盤としての地面/3 垂直軸 ― 上下/4 原点 ― 自己・人間形/5 三つの領域 ― 地面、天空、地下/6 二つの心理的場所 ― この世とあの世/7 境界と移行領域
5節 モデル? 基本単位 ― モデル?の生成プロセス
1 生データから基本単位へ ―「たましいの形」を例に/2 現場データの加工と編集 ― まるごと手の内へ入れる知の縮小化/3 現場データの観察と対話 ― 有限情報の対話的観察を繰り返して基準づくり/4 現場データの質的典型性と多様性の発見/5 基本単位の生成
6節 イメージ画の量的分析と質的分析
1 量的分析と質的分析の特徴/2 量的分析 ― 分類カテゴリー作成と頻度の比較/3 質的分析 ― 基本単位の共通性、関係性、多様性
7節 モデル? 基本構図の生成プロセス
1 モデル? 基本構図 ― たましいの形態変化モデル/2 人間形から無形化へ/3 人間形から天体形へ/4 人間形から異形化へ/5 モデル?「たましいの形態変化モデル」まとめ

 第?部 イメージ画の分析―質的方法を中心に

4章 この世とあの世の位置関係 ― 日本のイメージ画1をもとに
1節 この世とあの世の位置関係モデル
1 基本構図モデル/2 垂直モデルと水平モデル ― 天上、地下、地上の他界
2節 あの世はどこにあるか ― 先行研究より

3節 垂直他界 ― 天上他界のイメージ
1 あの世は上に ― イメージ画1の数量的分析/2 天上他界のイメージ ― 典型事例/3 自然の楽園としての天上他界/4 あの世の人が見守るということ
4節 垂直他界 ― 地下他界のイメージ
5節 垂直他界 ― 三層他界のイメージ
1 天上・地上・地下/2 多層他界のイメージ
6節 水平他界 ― 地上遠隔他界のイメージ
1 併存する別世界/2 あべこべ鏡映他界/3 此岸と彼岸/4 あの世は左か右か
7節 水平他界 ― 地上近傍他界のイメージ
1 この世で共存/2 あの世の人を区別する標識 ― 身体の変形、背後霊や影/3 入れ子の他界
8節 この世とあの世の境界
1 この世とあの世の分離のしかた/2 境界/3 雲と川
9節 天のあの世から、地のこの世を見守る ― 日本のイメージ画1のまとめ

5章 たましいの形といのち循環 ― 日本のイメージ画2をもとに
1節 たましいに形があるなら
2節 たましいとは
1 心とマインド/2 ソウル、スピリット、アニマ/3 たましい、たま、カミ/4 たましい、むすぶ、むす(生す)
3節 たましいの形の多様性と変化プロセス
1 たましいの形態変化/2 気体化プロセスの三基本形 ― 人間形、人魂形、気体形
4節 人間形のたましい
1「人間形のたましい」の肉体からの分離のしかた ― 抜け出る、起き上がる/2 人間形とは何か ― 死んでも変わらない、あの世で再会する/3 幽霊形(足の脱落)/4 影形(人間の影)
5節 人魂形のたましい
1 人魂形の基本形と多様性/2 玉と炎の人魂形/3 そのほかの人魂形 ― 雲形、渦巻、水滴、虫、ハート形など
6節 気体形のたましい
1 気体形のイメージ/2 気体形の身体からの分離と移行/3 気体形の世界 ― 不可視化と浄化、拡散と消失/4 風になるたましい
7節 神形や天体形への変化プロセス
8節 異形への変化プロセス ― たましいの動物化と他者化
1 天人形 ― 天女、魔女、天の車、衣服や道具や乗り物で飛ぶ/2 天使形 ― 羽の生えた人/3 鳥形 ― 動物化とお迎え/4 鬼形 ― 他者化と異形化
9節 たましいの連続性 ― 不死性、同一性と形態変化
10節 たましいの往来プロセスと生まれ変わり
1 たましいの往来パターン/2 たましいの往来と生まれ変わり
11節 いのちサイクルと循環する時間
12節 たましいの形態変化といのち循環 ― 日本のイメージ画2のまとめ

6章 フランスのイメージ画をもとに
1節 フランスの他界イメージをめぐる社会的・宗教的背景
1 キリスト教移植以前のヨーロッパの他界観/2 中世のカトリック・フランス/3「ライシテ」国家としての近現代フランス
2節 フランスのイメージ画1 ― 事例と特徴
1 この世に対するあの世の位置/2 あの世はどういうところか?/3 見守る死者、手を差し伸べる死者
3節 フランスのイメージ画2 ― 事例と特徴
1 イメージとしての「この世への帰還」と教義としての「ありえない帰還」/2 フランスにも人魂形がある?/3 イメージの欠落 ―「信じないゆえにイメージせず」と「信ずるゆえにイメージせず」
4節 フランスのイメージ画の特徴 ― まとめ

7章 イギリスのイメージ画をもとに
1節 イギリスの他界観をめぐる歴史的状況
2節 調査地域と調査協力者
3節 イギリスのイメージ画1 ― 事例と特徴
1 この世に対するあの世の位置/2 あの世はどういうところか?/3 見守る死者、手を差し伸べる死者
4節 イギリスのイメージ画2 ― 事例と特徴
1 この世への帰還のイメージ/2 植物への再生のイメージ
5節 この世とあの世のアイデンティティの連続性
1 この世とあの世のアイデンティティの連続性の問題/2 この世とあの世のアイデンティティの連続性の描画表現/3 あの世におけるアイデンティティのあり方
6節 この世での行動とあの世での姿の因果関係
1 この世での行動とあの世での姿の因果関係の問題/2 この世での行動とあの世での姿の因果関係の描画表現

8章 ベトナムのイメージ画をもとに
1節 ベトナムの社会的・宗教的背景
1 ベトナムの国の成り立ち/2 ベトナムと日本の文化的共通性/3 宗教的背景/4 陰陽思想/5 死者の弔いと祖先崇拝/6 魂と魄 ― お化けと悪鬼/7 遅れてやってきた近代化と科学信仰
2節 ベトナムのイメージ画1 ― 事例と特徴
3節 ベトナムのイメージ画2 ― 事例と特徴
4節 ベトナムの他界イメージの探究 ― 映画や小説等を手がかりに


 資料
1 調査方法と調査協力者/2 他界信念調査 ― 4か国の比較分析

 引用文献 (9)
 索引   (1)


                                              装幀=桂川 潤

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